医療機関はなぜひっ迫しているの?。

時事

新型コロナウイルスにより、医療崩壊などが度々懸念されている医療機関ですが、この度気になるニュースがありました。

ボーナスなく看護師数百人退職の恐れ 東京女子医大病院
https://news.livedoor.com/article/detail/18573030/
東京女子医科大学病院(東京都新宿区)が、夏の一時金(ボーナス)を支給しないと労働組合側に伝えていたことがわかった。新型コロナウイルスの感染拡大で経営が厳しくなり、医療従事者がしわ寄せを受けている。看護師らが数百人規模で退職する可能性もあり、地域医療に影響が出ることが懸念されている。
(朝日新聞DIGITAL)

どうやら、看護師の方々から退職の希望が出ており、それがグループ内で400人を超える規模らしいのです。

新型コロナ患者受け入れへの危険手当もなく、給与もカット、その上ボーナスも0円……。

おまけに病院は「引き留めることはできないし、だったらその分また看護師を補充すれば良い」という態度です。

なんだか、やるせない気持ちになってしまいました。

そして別の病院でも。

コロナ患者受け入れの千葉の病院がスト決行。逼迫する医療従事者
https://news.goo.ne.jp/article/mag2/nation/mag2-458291.html
船橋二和病院の労働組合はストライキ当日の朝7時半、ビラ巻き行動から始まった。ストに立ったのは医師や看護師など8名。船橋市庁舎や病院前、千葉県庁などを移動しながら抗議活動を行った。「スト決行中」という白いゼッケンをつけて街頭を歩きながら、ビラを撒いて訴えた。

千葉県の船橋二和病院でのことです。

どうやらこの病院、それ以前からボーナスカットなどが続いていたようです。

この春までの退職者は70名にも及びました。

そして、今回はコロナ禍の中、残った少ないスタッフで必死に対応したのにも関わらず、ボーナスは過去最低額(0.9カ月)となったそうです。

医療現場の声(医療従事者差別)

全日本民医連によると、看護師や医師は、N-95マスクに始まる防護具が慢性的に不足しており、使い回しは常態化。危険手当もなく、極度の緊張にさらされながらリスクの高い診療にあたっています。

ニュースでも報道されていましたが、手作りの防護服などを使用しているというのもありましたね。

日々必死に改善を重ねてはいるものの、感染対策も手探り状態の中、人手と時間は以前に比べて大変かかる状態に。

すごく大変!!防護服の着脱

例えば、防護服を着用するのもかなりの手間です。マスクはもちろん、手袋、マスク、ゴーグル、長靴など、装着物も多く、着るのに時間がかかります。暑いし、治療や看護もし辛い。

もっと大変なのは防護服を脱ぐ時です。ウイルスが付着しているかもしれないので、防護服や手袋ほかすべてに消毒液を吹きかけます。この消毒作業には介助者も必要となります。

防護服を完全に裏返しに脱げるように、そろそろ~っと裏にしながら脱がしてもらいます。もちろんこれにも介助者は必要です。

すべてを脱ぐまでの工程も長いし、最新の注意を払いながらの作業なので、かなり神経を消耗すると思われます。

しかも、これ、介助者もずっと掛かり切りになるんですよね。

消毒してあげて、脱ぐのを介助してあげて、最後には汚染ゾーンと呼ばれる着脱時に床に敷く大きなビニールシートの片付けまでが一連の仕事となるのです。

どう思われますか? これだけでも、医療従事者の負担はすごいものだと思いませんか?

どうして? 医療従事者差別

そして、なぜこんなことが起こるのかというエピソードが。

・新型コロナ対応病院に勤務する女性の夫が、会社から出勤停止に

・看護師の子供が保育園から受け入れ拒否

・看護師さんがお休みの日に公園で子供を遊ばせていたら、近所のママから「感染するかもしれないので遠慮してください」と

もう!! ほんとに嫌っ!!(特に3番目のやつ)

文字通り命がけで働いてくれている人たちが、どうしてこんな目に合わなければならいのでしょうか。心からの憤りを感じます。

子供も可哀そうです。久々にお母さんと公園に来たら、追い出される。何も悪いことなんてしてない、いや、いいことしかしてないのにですよ。

なんじゃ、そら! ですよ。

私の身近にも医療従事者がいます。すごくいい人です。

彼女がそんな目にあったらと思うと、もう、感情移入が止まりません。

はあ。 なんか興奮してしまいました。

新型コロナが世界中に蔓延し、すべての人が医療従事者の方々に深い畏敬と感謝の念を抱いているといっても過言ではない今、どうしてこんなことになってしまったのでしょうか。

病院経営は儲からない?

病院を舞台にしたドラマを観ていると、経営が大変で、採算の上がらない科は潰される……、というような設定がちょいちょいありますよね。

病院経営再建のためのコストカッターなんて設定もありました。

ドクターX~外科医・大門道子~
コストカッター:ニコラス・丹下(市村正親)/(テレ朝POST)

でもさ、病院ってぶっちゃけ儲かってるイメージありません?

近所の個人整形外科だってお年寄りぎっしり、小児科でも子供ぎっしり、大きい病院なんていわずもがな、すごくたくさんの患者さんがいますよね。

お医者さんも、看護師さんも、みんな忙しそうですよね。

儲かっているとしか思っていなかったのですが、実情はどうやら違うようです……。

7割の病院がじつは赤字!「瀕死の医療機関」を救う新しい稼ぎ方
厳しい環境を生き抜く「戦略」とは
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/65941
(鈴木 尚之 株式会社CBホールディングス 代表取締役)

その原因としては、私たちの大変お世話になっている国民皆保険があります。

7割は国が負担してくれて、私たちはたった3割の負担で医療が安心して受けられる。

WHO(この機関の現在の評判は地に堕ちていますが)からも、日本の保険制度は世界一というお墨付きを頂いたほどなのです。

私たちはとても恵まれています。

一方。

私たち(患者)が享受するこの権利によって、医療機関は苦しめられているのです。

高齢化社会となって国の保険料負担が重くなる

厚生労働省は赤字を改善するために社会保障費を抑制する

厚生労働省の圧迫により病院(介護施設も含む)の診療報酬が減額

病院の財政難

ざっくり言うとこういう図式になるのです。

日本、おかしくないですか?

今この状況で一番守らなければならないのは医療機関、医療従事者ですよね。

厚労省は適正な判断をしているといえるのでしょうか?

医療費の削減を繰り返したイギリスは完全に医療体制の崩壊をしていますが。

締め付けるだけ締め付けて、本当に必要なことに目を背けていませんか?

新型コロナ患者を受け入れた病院がひどい目に

もともと病院の状況は厳しいものがあり、そんな中コロナ禍に見舞われたわけです。

しかし、ここでもやるせないのは、

新型コロナ患者を受け入れた病院が、馬鹿を見た形になってしまったことです。

コロナ患者を受け入れて頑張った

一般患者が感染を恐れて受診を控えた

結果、外来患者2割強、入院患者は1~2割減った

経営が悪化して、医療従事者の「減給」「雇止め」「一時帰休」「定期昇給見送り」などの厳しい結果を招いた

こんなことが許されていいのでしょうか。

でも、「あの病院でクラスターが発生した」と言われれば、通常の心理としてはやはり近寄りがたい気持ちになるのも正直なところ……。

誰だって、自分や家族の健康が一番大事なのですから……。

おまけで言いますと、日本の病院経営者(理事長ですね)には医師免許が必要なんだそうです。

お医者さんになるだけでも大変ですよね。

つまり、もともと経営のプロでも何でもないのです。畑違いの経営と二足のわらじを履くのはなかなかに過酷なのではないでしょうか。

こうした仕組みを知ってしまうと、本当にどうしたらいいのやら。

でも国民が支払っているものって結構な額ですよね。

健康保険料はもちろん、所得税、市県民税、介護保険料……。消費税だって10%払ってますよね。

健康保険料あげていいよ、とはとても言えない。

応援するために、クラスター起きた病院でも行きますよ、ともなかなか言えない……(ごめんなさい…)。

となると、考えれば考えるほど、

「国よ、助けろ」

という他なくなります。

国は医療機関に支援していないの?

ということで、国は医療機関を助けてくれるのかどうかが本当に気になります。

病床一杯で医療崩壊……という視点から、根本的に日本の医療が崩壊してしまうという大問題。

探していたら、小池都知事のこんなニュースが出ました。

東京都、コロナ対策で3132億円補正案 医療機関支援
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO61346540Z00C20A7L83000/
東京都の小池百合子知事は9日、新型コロナウイルス対策を強化する総額3132億円の補正予算案を発表した。コロナ患者を受け入れる医療機関への経営支援などを盛り込んだ。同日、都内では224人の新規感染者が確認された。都は医療崩壊を防ぐ対策を急ぐ考えだ。(日本経済新聞)

こんなんじゃとても足りない、という声も多いようですが、何もない、何もしないよりは100万倍ましです。

コツコツとこういったこと積み重ねて実行し、医療従事者の方々に少しでも明るい未来を開いていって頂きたいと思います。

新型コロナの「慰労金」、医療従事者だけでなく、受付・会計スタッフ等にも極めて幅広く支給―厚労省
https://gemmed.ghc-j.com/?p=34825
❝新型コロナウイルス感染症と闘う医療従事者等に「慰労金」を支給するが、その対象は極めて幅広く、例えば「資格や職種、雇用形態などの限定はない」「委託職員も一定の要件を満たせば対象となる」「新型コロナウイルス感染症以外の傷病患者と接するスタッフも対象となる」「診療に従事するスタッフだけでなく、受付や会計のスタッフも対象となる」―。厚生労働省は7月1日に事務連絡「新型コロナウイルス感染症緊急包括支援事業に関するQ&A(第3版)について」を示し、こうした考えを明らかにしました❞


厚労省のこれも、医療従事者の方々が与えられているダメージへの対価としては安すぎる気もしますが、関係者を広域にした点は大きく評価できると思います。

必死に最前線で踏ん張ってくれている医療従事者の方々に少しでも光になってくれればと願わずにはいられません。

厚労省の発表した医療従事者の新型コロナ感染に関する労災に関しても、就業している場所自体に高いリスクがあるので当たり前ですが、“明らかに職場以外の場所で感染したと思われる” 場合を除いてすべて労災認定されるとのことです。ホッ……。

医療従事者の心のケア

新型コロナ以前から、看護師や医師は慢性的疲労感があると答える人が7割を超えていたそうです。

医師も24時間労働ならぬ、33時間労働などというのも普通にあったり、看護師も不規則なシフトや激務で肉体的疲労もさることながら精神的な疲れもあることでしょう。

ましてや今回のコロナ禍のような未曾有の状況の中、どんなに大変な思いをして力を振り絞って闘っておられたのかと思うと、手を合わせて感謝したい気持ちになります。本当に、頭が下がります。

未だ終わりが見えない中、さらに降りかかる外的ストレスもあり、医療従事者の方々の精神的健康が心配です。

新型コロナウイルス感染症とこころのケア
http://www.niigata-dp.org/corona/health_worker/index.html
1.直接対応する医療従事者に特有のストレス要因
・感染者や遺体などに接した医療従事者に対する偏見
・厳格なバイオセキュリティ
・医療の需要増大 → 厳しい労働スケジュール
・厳しい労働スケジュールや最前線で働く人に対するコミュニティ内の偏見のために、社会的支援の利用が減少すること
・基本的なセルフケアを実践するための余力がなくなること
・感染に関する情報が不十分の患者に長期間暴露すること
・最前線で働くことにより特に強まる、他者へ感染させることへの恐れ
上記の特殊性を踏まえた上で、それぞれの立場でできることを行っていきましょう。(新潟大学医学部精神医学教室)

個人的には5番目の「基本的なセルフケアを実践するための余力がなくなること」というのが一番大変だなと思いました。

何のうまい言葉も出ませんが、心と身体の健康を害されませんように、くれぐれもご自愛してくださいね。

一番頑張っている人たちが一番に報われる社会でありますように。

私たちは医療従事者の方々の献身と叡智の上に生活ができているのだということを、心から感謝して、しっかりと防疫に努めて生活していきましょう!

医療従事者の方々、ありがとう!

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