夫源病。
この数年でちらほら耳にするワードだと思います。読んで字のごとく、「夫を源とする病」のことです。
夫が居るだけで心身ともに不調になってしまうという病気。
それが、このコロナ渦でぐんと目立つキーワードになってきました。なぜでしょうか。
それって、
「定年した昭和親父が家で威張り散らすからでしょ」
「熟年離婚の典型原因」
と思ったあなたは甘いでしょう。今や夫源病は20代や30代の夫婦にも起こり得る精神症状なのです。
コロナ渦でテレワークがかなり浸透してきましたよね。
それによって旦那さんが家にいる時間が長くなりました。
旦那さんと余程気が合って、大好き、ずっと一緒にいたい、ってな夫婦にはどうでもいい話です。
でも、そうばかりではない夫婦は確実にいるわけです。
一定の、的確な距離感があればこそ日常生活が成り立つ夫婦が。
夫源病の症状
いわゆる不定愁訴※と言われてしまう症状です。
あらゆる不調が起きます。
※明確な原因が不明の精神的・肉体的不調。
・夫が傍にいると気が休まらない
・夫が傍にいると何を言われるかと身構えて不穏な気持ちになる。
・夫が傍にいると動悸がする
・夫が傍にいると胃が重くなる
・夫が傍にいるとイライラする
・夫が傍にいると頭痛がする
・夫が傍にいると情緒不安定になる
・夫が傍にいるとめまいが起きる
・夫が傍にいると鬱っぽくなり気分が沈む
・夫が傍にいると吐き気が起きる(←これはかなり重症?)
夫源病チェック
「妻の病気の9割は夫がつくる/石蔵文信」に掲載されている「夫源病危険度チェックリスト」↓
●夫の現状(旦那さんの態度をチェックしてください)
・人前では愛想がいいが、家では不機嫌
・上から目線で話をする
・家事に手は出さないが、口は出す
・妻や子どもを養ってきたという自負が強い
・「ありがとう」「ごめんなさい」はほとんどない
・妻の予定や行動をいちいちチェックする
・仕事関係以外の交友や趣味が少ない
・妻が1人で外出するのを嫌がる
・家事の手伝いや子育てを自慢する自称「いい夫」
・車のハンドルを握ると性格が一変する
★4つ以下…問題なし
★5~7…夫源病予備軍
★8つ以上…夫源病の可能性が高い
どうでしたか?
うちの夫に結構当てはまるという人も多いのではないでしょうか。
外では素晴らしい社会性とバランスを図ることができる男性でも、家ではその気の張りを解いてくつろぎたいですよね。
それもわかります。疲れますもんね。
家に帰ったら何もしてなさそうな呑気な(と見える)奥さん。
おい。お前は呑気だな。俺は外で働いて疲れてるのに、お前は家で1日何やってんの?
いいご身分ですね。金も稼いでないし、お前は気楽でいいよな。
という気持ちになっちゃうんでしょうね。
でも、奥さんが何をしているのかを理解していない旦那さんが多いのではないでしょうか。
「いいよな、お前は1日遊んでて」
「誰のお金で生きてるの?」
「俺は1日外で働いて疲れてるんだよ、お前と違って」
そういう気持ちの旦那さん、あろうことかそれを口に出す旦那さん。
そういう旦那さんにとっては、奥さんが日々やっていることって想像ができないかもしれませんね。
でも、奥さんが「なんにもしてない」というのはとんでもない誤解です。
奥さんがやっていること
簡単に羅列してみると、
・朝ごはんの支度、片付け
・ゴミの分別、まとめ、ゴミ捨て
・夫や子供がちらかしたものの片付け
・全体の拭き掃除、掃き掃除
・トイレ掃除
・風呂掃除
・洗濯、洗濯干し、洗濯たたみ、洗濯しまい
・皿洗い、皿拭き、皿しまい
・料理のメニューを考える
・夕ご飯の支度、片付け
・子供が使う道具類を(買ったりなどもして)準備、明日の支度
・子供を遊ばせる
・玄関掃除、靴などの整理
※季節的なこととしては、衣替えやイベント支度なども
※ご近所の清掃とか重要な行事の確認、回覧板を回すなど
※子供の朝の見送りや見守り、幼稚園や学校の行事や委員会などもあります
※しかも土日なども洗濯などの最低限の家事があり
もっと細かいこともありますがキリがないのでこんな感じで。
例えば仕事としてまとめてこう! とは言えないけれど、細やかに別分野のことを切り替え切り替え、次から次へとやっているのです。
お前1日何やってんの? って言われたとしたら、例え立派な一流主婦じゃなかったとしても時給1000円換算だとして、少なくとも(あくまで “少なくとも” ですよ)日給6000円以上の働きはしてるはず(私換算ですが、トータルで最低でも5時間は家や子供の為に働いてますから)。
ぐうたらの私でさえもこれなんですから。世の中の女性たちはすっごい働いている人もいるわけで。
外で働くのが大変なのはわかります。大概の人はお金を稼ぐために仕事をしているわけですから、厳しいものもありますよね。
しかし、一方奥さん業(家事・育児・ご近所ワーク・学校行事など)は、思ったより面倒なものです。毎年変わる子供の関係やご近所の関係などで、知らない人たちや知らない業務と関わっていかなければならないことも多いのです。
これがまた消耗することも多いんですよ。新しい人付き合いって消耗しますから。
こういったことを全く考えもせずに、完全に上から目線で接してくる旦那さんが多いのが奥さんの夫源病の原因になるのではと思うのです。
お給料は目に見える成果として本当にわかりやすい。
でも奥さんの労働というのは誰かが評価したり、タイムカードで管理されているわけでもないので分かりづらいのです。
奥さんを夫源病にさせる夫の特徴
奥さんを夫源病にさせる夫にはいくつかの特徴があります(「夫源病危険度チェックリスト」でチェックした方も改めてご一読ください)。
・被害者妄想が強い
・金銭に対して厳しい
・他人に厳しい
・物事に対して批判的
・責任感がありド真面目(高熱でも出社するタイプ)
・自分への自負心が強い
・疑り深い
・他者の意見はなかなか素直に受け付けない
・比較するのが大好き
自分は頑張ってるし正しいし責任は果たしている。養ってやっているのに文句を言われる筋合いはない。俺がこれだけ給料を稼いで頑張っているのに妻は家でのんびり過ごして責任を果たしていると言えるのか。他の奥さんはしっかりやってるのにお前はダメ過ぎる。
というメンタルになりやすい人なのですね。
すべてを自分のスケールや理想に合わせて、それと比較してお前は……となりがちな人ということです。
想像力が欠如しているとも言えます。
もしくは外で抱えたストレスを家で発散しているのかも。
もしかしてモラハラ? モラハラ男に関する記事はこちら↓
【あなたの彼もモラハラ?】モラハラ男の見分け方
奥さんが夫源病になる根本原因
それは、ズバリ
「自己肯定感を否定される」
ということです。
毎日毎日、
「働いてないくせに」もしくは「パートなんて小遣い程度でしょ」
「お前は今日1日なんかやったことあんのか」
「何にもやってない奴は気楽でいいよな」
などと言われ続ければ、自尊心は傷付けられ続けます。
本当に一切何もやってない奥さんだったら逆に、「うるせえな!だから何だよ?」と
言えるようなメンタルも持ち合わせているかもしれませんが、
夫源病を発症するような奥様方というのは根底が真面目だったりします。
やっていることをやってないと言われるとよく理解できないままに、
自分を責める気持ちが。
それが罪悪感として身内に巣食ってしまうのです。
自分がやってきたことを全否定されるのは本当に辛いこと。
そして自分で自分を否定するのは心の軸を折られるようなものです。
自分という人間を否定されるのが夫源病になる根本原因です。
コロナ渦で夫源病が増えたわけ
夫婦というのはもちろん愛だの恋だのばかりは言っていられません。
生活していくというのは、“現実” の連続。お互いのことをシビアに見てしまうことも多くなったりします。
しかし、すべての男性に当てはまる事項ではありませんが、男性は結構女性に対するファンタジーが強く、女性性はこういうものであるという固定観念があります。
誰か他の女性(自分の母親など)と比べたり、理想のファンタジーに固執したりすることによって、相手の女性に理想の役割を演じることを知らずに強制している場合もあります。
自分のオリジナリティを殺しながらもそれにお付き合いする女性は多い。
それが男性にとっては「当たり前」となります。
でもそれってほんとに疲れる話。
「夫まじうざいわ」
そう思ったとしても、今までは、会社に行ってくれている間は “元凶” と接しなくて済むわけですから、コロナ前なら何とかやってこられた奥さん。
それが、コロナ渦で大変な事態になりました。
自分の精神の均衡を夫が不在の間に何とか整えてきた奥さん。
それが、元凶が毎日毎日家にいて、やれ
「コーヒー」
「あれどこだっけ」
「あれ持ってきて」
「ミーティングあるんだから子供うるさくさせないでくれよ!」
「え?ランチに行くの? いっつも行ってんの?」
「これがないんだけど~。買ってきて」
「YouTube観過ぎじゃね?」
「ちゃんと子供昼寝させろよ!」
「昼ごはんは〇〇にして」
「買い物時間かかり過ぎじゃね?」
「ここちゃんと掃除しろよ」
「趣味の〇〇やめれば? コロナ家に持ち込むかもしんないじゃん」
「家にずっと居るのにこんなこともしてないの?」
「もっとちゃんとしろよ。だらしない」
的な言葉の数々を言われ続けたりすればどうでしょう。
ほんとに病みますよね。気が抜けません。
疑り深く自分ばかりが大変という被害妄想のある夫は、奥さんを常に下に見続け、やっていることに逐一詮索し、監視下に置いて、「ああ~、やっぱりこんなとこにもダメなとこがあった。俺が見てないととんでもないな」と更に細かいことを詮索してくるのです。
ほんと、病むって。
まあ、奥さんだって一切やらねーし的なだらしない人もいるわけで。そういう人が注意されてイヤイヤながらも生活態度が改まったり、気付きがあればいいでしょう。
しかし。前述しましたが、病んでしまうのは割と生真面目で考え込みがちな奥さんだったりするので。
「あれもこれもやってきた」
「夫の望み通りこうしてきた」
「何もやってないと言われるのはおかしい」
「お金を稼いでないと何を言う権利もないのか」
「何を言っても否定される」
コロナ渦で常に元凶である夫に晒され、一時の抜きもなくその苦しみばかりが頭を独占します。自分の思考に殺されてしまうことになるのです。
自分の思考というのは延々と続きます。持続的な自己否定の観念は最も心身を傷付けるのです。
では、一体どうやってこの状況を打破すればいいのでしょうか。
夫源病の解決策
解決策は、あなたがこの先どうしたいのかによります。
❶誰かに話す
➋互いに理解を深め関係修復
❸もうムリ。離婚したい
あなたはどうなりたいですか。
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